今なお強力なPS2、あと3年は健在？

ソニーは次世代ビデオゲーム機の覇権をめぐりMicrosoftと戦っているが、同社が7年前に
投入したプレイステーション 2（PS2）はまだまだ健在だ。

ソニーが2000年にPS2を立ち上げて以来、同製品の世界累計販売台数は1億台を超える。
現在PS2は価格がかなり下がったため、西欧および北米の人々にとってはふと思い立って
買える程度、東欧などの新興市場の消費者にとっては手頃に買える程度になっていると
ソニーは言う。PS2の売り上げは依然好調で、今年第2四半期の販売台数は、ソニーの新たな
主力製品PS3の約4倍だった。

「当社はPS2に資金を投じている。サードパーティーにPS2向けの開発を続けるよう奨励
している。サードパーティーは、PS3版を投入するのであれば、PS2版も提供できる」と
ソニーの欧州ゲーム部門責任者デビッド・リーブス氏は8月23日、Leipzig Games Conventionの
折りにReutersに語った。

「まだかなり（稼げる）金がある。前回、初代PSでは、移行をあまりに急いだことで多額の
金を（回収しないまま）残してしまった」（同氏）　同氏は、PS2向けのゲーム開発は3～4年
続くと見込んでいると語った。ほかの業界幹部は、2～3年ともっと慎重な見方だ。

ゲームパブリッシャー各社は、PS2は依然として魅力的なプラットフォームだが、ハードコア
ゲーマーが最新ゲーム機に移行するのに伴ってユーザー基盤が変わっていると指摘する。
「われわれがリーチする消費者や、地域の点で少し変わってくるだろう」と世界最大手ゲーム
企業Electronic Arts（EA）の国際パブリッシング担当ジェネラルマネジャー、ゲルハルト・
フロリン氏は言う。

「弟ではなく、パーティーゲームで遊ぶ姉に、ゲーム機がお下がりとして渡されるかもしれない」
と同氏はLeipzig Games Conventionの際にReutersに語った。EAはこのイベントで、
プレイヤーがソロで、あるいは友人と一緒にロックを演奏できる次期タイトル「Rock Band」の
PS2版を発表した。フロリン氏は、このゲームは、PS2で成功するタイプのゲームの典型例
だと述べた。「Rock Bandや（雑学ゲームの）Smarty Pantsは必ずしもプロセッサ性能によって
引っ張られるものではない」（同氏）

無比の導入基盤にもかかわらず、PS2向けゲーム開発の経済学は一見したほど単純では
ないと、仏ゲームパブリッシャーUbisoftのイブ・ギルモCEOは語る。「問題は、使われ続けて
いるマシンはたくさんあるが、小売価格がすぐに下がるため、粗利率が下がるということだ」
（同氏）　「ほかのマシンに加えてPS2用のゲームを作ることができれば、実際に余分な収入に
なる。Ninja Turtlesのゲームはたくさん売れて、追加の収入をもたらした」

だが、PS2専用にゲームを開発する場合は、この構図は変わる。そうしたゲームが40ドル
程度で売られるのに対し、PS3やXbox 360向けのゲームは60ドル。つまり、パブリッシャーが
同じだけの売り上げを得るには、販売本数を増やさなければならない。ギルモ氏はそう語った。

Ubisoftは米国だけで次世代機向けゲーム「Rainbow Six」を110万本販売したと同氏は言う。
「今、米国でPS2向けゲームを110万本売るのは容易ではない。（次世代機向けバージョンと）
同じ売上高を得るには、40ドルのものを160万本売らなくてはならない」

ソニーのリーブス氏は、パブリッシャーの間には、次世代機向けゲームのPS2版の開発を
外注するトレンドが見られると語る。PS3やXbox 360のゲーム開発は初めは難しいが、PS2
向けの開発は、経験を積んだプログラマーが既に多数いると同氏は言う。

「今会社を作れば、向こう5年でPS2向けゲームの開発で億万長者になれる」（同氏）



ITmedia/Reuters
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0708/24/news023.html